水津 達大 | Suizu Tatsuhiro

1987

広島県生まれ

2011

東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業

2013

東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修士課程日本画修了

主な個展

2022

「曾遊」日本橋三越本店, 東京

2021

「風景の行方」Bunkamura Box Gallery, 東京

2020

「風景へ」日本橋三越本店, 東京

2019

「Nouvelle direction de la peinture japonaise」 GALERIE 48, Lyon

2016

「Dialogues avec les aînés」GALERIE 48, Lyon

主なグループ展等

2023

「日本画の棲み家」泉屋博古館東京, 東京
「LANDSCAPE here and there」MARUEIDO JAPAN, 東京

2019

「日本画からNIHONGAへ ~安芸の詩~」日本橋三越本店, 東京

2015

「FACE 2015 損保ジャパン日本興亜美術賞展」東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館, 東京['18]

活動

2019

「岩絵具、フランスの山脈を彩る。−「扇面貼交屏風」の共同制作を通じて−」
講演会・ワークショップChamonix, Annecy 在リヨン領事事務所主催笹川日仏財団助成事業

2018

日仏友好160周年記念 「日本画×新世代 −伝統と伝承−」
展示・講演会・ワークショップHôtel de Ville, Lyon 他 在リヨン領事事務所主催

2016

金峯山寺 東南院 大峯奥駈修行 満行['18]

2013

「国宝 伴大納言絵巻」模写事業参加

ステイトメント

私は現代の日本で、日本的自然観や美意識に親しむ一方で、西洋由来の科学技術の恩恵を受けて生活している。当然のことながら、私が目にする風景にもこの二重性が立ち現れる。自ら本で学んだ知識と現場へ赴きリサーチした事柄等がオーバーラップしていく。歌枕として詠まれた土地には、送電線が張り巡らされ、ビルが立ち並ぶ。そこには、人間と自然との関係、環境やエネルギーにまつわる話、あるいは詩情など、様々な位相の情報が潜んでいる。そして、この時の流れや、文化の変化を含みこみ、立ち現れる風景を描くことが、私が世界を知り、関与していく方法となった。

風景を描いた絵画は、ある時代や文化を生きる人々の自然の認知の仕方、関わり方の視覚的表現である。
例えば、西洋では、一点透視図法を用いて風景を描き、自然を観察の対象=オブジェクトとして把握しようとする。一方、近代以前における中国では、絵の中を自由に行き来するような視点で山水画を描き、主体と客体との境界は曖昧であり、自然を美的・宗教的領域として捉える。風景を描いた日本の絵画は中国の山水画をベースとしながらも省略化や余白の美が重視される。
それは、古来より自然を介し、その背後にある世界の無限性を想起させる「幽玄」や、余分なものをそぎ落とした最小限の表現こそが豊かで美しいとする「わび・さび」などといった美的理念を生み出すことになる。
そこには精神的な奥深さや、消極性の美的価値への転換などが説かれ、その理念は絵画として描かれた風景にとどまらず、茶碗の表面や墨のにじみなどにも「景色」を見出し鑑賞の対象とした。
私はこのような日本の表現者の価値観を踏襲し、自然と歴史から学び、私が認識している「身体性=表現行為」と「思考=世界認識」という二つの座標を絵画上で統合し、制作している。そのどちらかに重心を置くかにより、日本の美意識に由来する感性的、水平思考的表現要素の強い作品群と、論理的な要素の強い垂直思考的要素の強い作品群とに区別している。

私は風景の持つ歴史や地域性、環境に対する諸問題を引用・検討しながら制作することで、現代を生きる私たちの時代の特殊性、もしくは人間に共通する普遍性を見いだそうとしている。ただ、風景と向かい合い、人が世界とどのように対峙しているのかを、知ろうとしている。

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